6月24日深夜3時頃、群馬県高崎市のコインパーキングで血まみれで倒れている吉田千夏さん(28)が見つかり、搬送先で死亡した。事件の直前までその場に居合わせていたとみられる男は、群馬県警が通報を受けて現場に臨場する前に吉田さん名義の車で逃走。自身の車を事件現場に残したまま、約30キロ離れた埼玉県深谷市の市道で電柱に突っ込む単独事故を起こし、死亡した。

埼玉県警の発表によれば、男は群馬県玉村町に住む建設会社の社員、山崎拓馬さん(34)。2人は知人関係にあり、山崎さんが吉田さんの死に関わっていると見て捜査が続けられている。
事件が起きた経緯の解明が進むなか、10歳離れた山崎さんの実兄が取材に応じた。【前後編の前編】
山崎さんは10年ほど前から、前橋市にある兄の建設会社で働いていたという。事件当日、山崎さんは出勤予定だったが、現場に姿を現さなかった。
「事件当日の朝9時過ぎ、8時半に約束していたお客さんから『まだ担当者が来ていない』と連絡が入りました。確認すると、担当は弟でした。ひとまず別の人間を現場に向かわせ、予定の時間を変更して穴埋めをすることにしました。
弟が仕事で寝坊することは、年に1回あるかないかです。個人の携帯にいくらかけても電源が切れており、社用の携帯は鳴るものの応答がない。この時は『アラームをかけ忘れて寝坊しているのだろう』としか思いませんでした。
事務員に弟の自宅へ向かわせたところ、しばらくして『自宅に警察が来ています』と連絡が入りました。電話を代わった警察官に状況を尋ねましたが、『今は何も答えられない』と言葉を濁されるだけでした。出勤前に事件のニュースをたまたま目にしていましたが、『また夜の街のトラブルか』と思ったぐらいで、弟が絡んでいるとは考えもしなかった」(山崎さんの兄。以下同)
「事件に関与しているかもしれない」
山崎さんの兄が電話口で、「どれくらいで仕事に来られそうですか」と尋ねると警察官は「答えられない。ニュースになっている事件に関係しているかもしれない」と返答。その応対に、山崎さんの兄は弟の死を直感したという。
「埼玉県警から連絡があったのは昼の12時前です。深谷警察署から直接、『県内で見つかった遺体の免許証が”山崎拓馬”という名前だった。高崎署経由で連絡先がわかったので、ご連絡しました。身元の確認に来てほしい』と。15時半頃に警察署へ着いて、遺体の顔写真を確認したところ、弟で間違いなかった」
山崎さんは会社で、現場を取り仕切る立場として働いていていた。山崎さんの兄は動揺を隠せない様子で、弟の身の上を話してくれた。
「兄弟ではありましたが、職場では完全に公私を割り切っていて、なんなら敬語で会話するような関係。弟は定時の18時になればすぐに帰るような男で、プライベートは本当に見えないやつでした。会社の後輩との飲みもほとんどないし、社員旅行の参加も断るくらいです。歓送迎会などには半ば無理やり参加させましたが、酒はまず飲まなかった」


