旭川17歳女子高校生殺害事件 内田梨瑚被告に懲役27年、裁判で問われた「殺意」と「責任」

旭川17歳女子高校生殺害事件 内田梨瑚被告に懲役27年、裁判で問われた「殺意」と「責任」

北海道旭川市で2024年、当時17歳の女子高校生が橋から川に転落させられ死亡した事件は、地域社会だけでなく全国に大きな衝撃を与えた。事件をめぐり、殺人、監禁、不同意わいせつ致死の罪に問われた内田梨瑚被告の裁判員裁判で、旭川地方裁判所は2026年6月22日、求刑通り懲役27年の判決を言い渡した。内田被告側は判決を受け入れ、控訴しない方針を固めたと報じられている。

写真]《初公判》“旭川17歳女子高生殺人”内田梨瑚被告(23)が留置先で見せた「まるで反省していない様子」〈舎弟は「梨瑚さんの調書はデタラメ」「全部作り話」〉  | 文春オンライン

事件の発端とされたのは、SNS上の投稿だった。起訴状などによれば、2024年4月18日、被害者の女子高校生が内田被告の画像をSNSに投稿したことをきっかけに、内田被告側が被害者に因縁をつけたとされる。その後、被害者は留萌市内で車に乗せられ、監禁されたうえで旭川市方面へ連れて行かれたと報じられている。文春オンラインは、公判資料や関係者証言をもとに、金銭要求や脅迫、暴行があったとする検察側の主張を詳しく伝えている。

検察側は、被害者が車内や立ち寄り先で逃げようとしたり、助けを求めたりしたにもかかわらず、内田被告らが連れ戻し、暴行や脅迫を続けたと主張した。被害者はその後、旭川市の景勝地・神居古潭にある橋へ連れて行かれ、最終的に川へ転落した。遺体は事件から約1か月後の2024年5月21日、橋から下流の地点で発見されたと報じられている。

裁判の大きな争点は、内田被告に殺人罪が成立するかどうかだった。内田被告は初公判で「私には殺意はありませんでした。橋から落下させていません」と述べ、殺人罪の成立を否認した。一方、検察側は、被害者を橋の欄干付近に座らせ、暴行や脅迫、屈辱的な行為を繰り返した末に死亡に至らせたとして、殺意と実行行為の存在を主張した。

人生奪ってしまい本当に申し訳ございません」内田梨瑚被告 傍聴席の遺族に26秒頭下げ謝罪も「私は殺意持っていなかった」  旭川女子高校生殺害(FNNプライムオンライン)|dメニューニュース(NTTドコモ)

共犯関係にあったとされる人物の証言も、裁判の焦点となった。FNNは、すでに有罪判決を受けた共犯の女性が「内田被告が被害者を押した」と証言した一方、内田被告は「橋から落下させていない」と主張し、双方の言い分が食い違っていたと伝えている。裁判所は最終的に、内田被告が被害者を直接押したとは認定しなかったものの、被害者が自ら落下したとしても、被告らの暴行や脅迫によってそのような状態に追い込まれたとして、殺人罪の成立を認めた。

判決では、被害者を強く辱める行為を繰り返し、橋から落下させたことについて「残虐で卑劣」と厳しく非難された。テレビ朝日は、裁判長が「動機はきわめて自己中心的なもので、酌量の余地はない」と述べ、「真摯な反省をくみとることはできない」と判断したと報じている。判決言い渡しの際、内田被告に目立った反応はなかったという。

検察側は論告で、犯行について「尊厳を踏みにじる極めて残忍で悪質なもの」と指摘し、内田被告に懲役27年を求刑していた。FNNによると、被害者の家族は厳罰を求め、父親は法廷で「どうか私の娘が望む判決を下してください」と涙ながらに訴えたとされる。求刑が無期懲役ではなく懲役27年となった背景には、共犯の女性に懲役23年が確定していたこととの量刑バランスもあったと解説されている。

《初公判》“旭川17歳女子高生殺人”内田梨瑚被告(23)が留置先で見せた「まるで反省していない様子」〈舎弟は「梨瑚さんの調書はデタラメ」「全部作り話」〉  | 文春オンライン

内田被告は裁判の中で、遺族に対して謝罪の言葉を述べた場面もあった。テレビ朝日は、弁護側の被告人質問で、内田被告が「被害者を再三傷つけ苦しませ、これからの人生を奪ってしまい、本当に申し訳ございません」と述べ、頭を下げたと報じている。しかし裁判所は、事件に至る経緯、被害者に与えた苦痛、法廷での説明などを総合的に見て、真摯な反省を十分に認めることはできないと判断した。

この事件は、SNS上の投稿をきっかけにしたトラブルが、監禁、暴行、そして死亡という取り返しのつかない結果へと進んだ点でも重く受け止められている。被害者は17歳で、これからの人生を突然奪われた。裁判では、加害側の言動や主張だけでなく、被害者が置かれた恐怖と孤立、助けを求めたにもかかわらず救われなかった経緯が改めて問われた。

旭川地裁が言い渡した懲役27年の判決は、事件の重大性を反映したものとなった。だが、刑が確定しても、失われた命は戻らない。今回の裁判で明らかになったのは、一時的な怒りや支配欲、集団の中での暴力が、どれほど深刻な結果を招き得るかという現実だった。社会に求められるのは、事件を単なる異常な出来事として消費することではなく、若者同士のトラブル、SNSをめぐる脅迫や暴力、助けを求める声をどう受け止めるかを考え続けることだ。