【シニア本音】70歳を過ぎても働き続ける理由とは? 「生きがい」では片づけられない高齢者の現実
「70歳を過ぎても、まだ働くの?」
そんな疑問を持つ人は少なくない。
かつては「定年=仕事から解放される時期」と考えられていた。しかし今、日本では70代になっても働き続ける人が珍しくなくなった。

理由は人それぞれだ。
社会とのつながりを持ちたい人。
健康維持のために働く人。
仕事が好きで続ける人。
そして――生活のために、働かざるを得ない人。
高齢者の就労が増える一方で、その裏側には簡単には語れない現実も存在する。
「本当は休みたい」
「もう体は限界」
「でも辞めたら生活できない」
そんな声を抱えながら、毎日仕事へ向かうシニア世代もいる。
「働く理由は生きがい」だけではない
テレビやメディアでは、高齢者が働く理由として、
「健康のため」
「社会とのつながりのため」
「毎日に張り合いがあるから」
という前向きな言葉が紹介されることが多い。
もちろん、そうした理由で働く人もいる。
しかし、すべての人が余裕を持って働いているわけではない。
現実には、
- 家賃を払うため
- 食費を確保するため
- 医療費をまかなうため
- 家族を支えるため
という経済的な理由で仕事を続けている人も多い。
「好きだから働いている」のではなく、
「働かなければ生活が成り立たない」
という人も存在する。
70代で建設現場に立つ男性の葛藤
ある70代男性は、現在も建設現場で働いているという。
腰にはコルセット。
膝にはサポーター。
朝起きた時点で体には痛みがある。
それでも仕事へ向かう。
理由は単純だった。
年金だけでは生活が難しいからだ。
家賃、食費、医療費。
毎月必要なお金は待ってくれない。
「もう体は若くない。でも働くしかない」
そう感じながら現場に立つ高齢者は少なくない。
若い頃なら当たり前にできた作業も、年齢を重ねれば大きな負担になる。
重い荷物。
長時間の立ち仕事。
暑さや寒さ。
一つひとつの負担が積み重なっていく。
75歳、夜間清掃の仕事を続ける理由
夜のオフィスビルを一人で清掃する高齢者もいる。
人がいない静かなフロア。
聞こえるのは、自分の足音と機械の音だけ。
時給制の仕事でも、生活にとっては大切な収入源になる。
しかし、年齢を重ねるほど不安も増える。
もし転倒したら?
もし急に体調が悪くなったら?
誰にも気づかれないのではないか。
そんな恐怖を感じながら働く人もいる。
「働くこと」は収入を得る手段であると同時に、高齢者にとって孤独との戦いでもある。
元管理職でも、老後は別の現実に直面する
70歳で販売の仕事をしている女性。
若い頃は企業で管理職を経験した。
多くの部下を持ち、責任ある立場で働いていた。
しかし現在は、店頭で商品を紹介する仕事をしている。
もちろん、その仕事に価値がないわけではない。
接客も販売も社会を支える大切な仕事だ。
ただ、本人の中には複雑な感情がある。
「昔の自分」と「今の自分」のギャップ。
過去の経験やプライドとの向き合い。
老後に働くということは、単に収入を得るだけではなく、自分自身の価値観を変化させる作業でもある。
高齢ドライバーが抱える不安
タクシー運転手として働く70代もいる。
長時間運転。
夜間走行。
乗客対応。
若い頃には問題なかったことが、年齢とともに負担になる。
視力の低下。
集中力の維持。
体力の消耗。
それでも仕事を続ける理由は、人によって違う。
生活のため。
仕事への責任感。
社会とのつながり。
ただ、無理を重ねることへの不安もある。
「いつまで続けられるのか」
その問いを抱えながらハンドルを握っている人もいる。
介護と仕事を両立する高齢者
70代以降で働く理由の中には、家族を支えるためというものもある。
認知症の配偶者を介護しながら、夜間警備の仕事を続ける人。
昼は介護。
夜は仕事。
睡眠時間は十分に取れない。
自分が倒れたら、家族はどうなるのか。
その不安だけで踏ん張っている。
高齢者の問題は、本人だけではない。
家族全体の問題でもある。
「老後の夢」が変わってしまった人たち
多くの人は、若い頃に老後の夢を描いていた。
夫婦で旅行する。
趣味を楽しむ。
ゆっくり暮らす。
しかし現実には、定年後も働き続けなければならない人がいる。
住宅ローン。
医療費。
生活費。
予想していなかった支出。
「こんな老後になるとは思わなかった」
そう感じる人もいる。
高齢者が語る30の本音
70歳を超えて働く人たちから聞こえる声には、共通するものがある。
「体はきついけど生活のために働く」
「本当は休みたい」
「年金だけでは不安」
「社会とのつながりがなくなるのも怖い」
「若い人に迷惑をかけたくない」
「働けるうちは働きたい」
「でも無理はしたくない」
「健康が一番の財産だと思う」
「お金だけではなく居場所が必要」
「仕事があることで救われている部分もある」
働く理由は、一つではない。
苦しさと同時に、意味を感じている人もいる。
本当に必要なのは「働け」ではなく選択肢
高齢者が働くこと自体は悪いことではない。
問題は、
「働きたい人が働く」
のか、
「働かなければ生きられない」
のかという違いだ。
70歳を超えても元気に働く人はいる。
しかし、身体的な限界を超えてまで働くことを求められる社会であってはいけない。
必要なのは、
- 高齢者でも無理なく働ける環境
- 年齢に合った仕事内容
- 健康を守れる制度
- 生活を支える仕組み
である。
最後に
70歳を過ぎて働く人たちは、決して弱い存在ではない。
長い人生を歩み、多くの経験を積み、それでも前を向いている。
ただ、その頑張りを「努力不足」や「自己責任」という言葉だけで片づけることはできない。
誰もが年齢を重ねる。
誰もがいつか同じ問題に向き合う。
だからこそ考えなければならない。
高齢者が働く社会とは、どんな社会であるべきなのか。
働くことが「苦しみ」ではなく、「自分らしく生きる選択肢」になるためには何が必要なのか。
70歳を超えて働く人たちの声は、未来の私たち自身への問いかけでもある。


