伊東純也選手が女性2人に約2億円の損害賠償を請求 刑事事件は双方不起訴、民事訴訟では主張が対立

伊東純也選手が女性2人に約2億円の損害賠償を請求 刑事事件は双方不起訴、民事訴訟では主張が対立

サッカー日本代表の伊東純也選手が、性被害を訴えて刑事告訴した女性2人に対し、告訴によって名誉や社会的信用を傷つけられ、スポンサー関連などで多額の損害を受けたとして、損害賠償を求める民事訴訟を起こした。伊東選手側は女性側の主張を全面的に否定しており、訴えた女性側は性被害があったとの立場を維持している。双方の主張は大きく食い違っており、民事裁判では事実関係や告訴の正当性、損害との因果関係などが争われている。

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問題の発端となったのは、2023年6月に大阪市内のホテルで起きたとされる出来事だった。女性2人は、日本代表とペルー代表の国際親善試合が行われた後、飲食をともにした伊東選手らから、酒に酔って十分な判断ができない状態で同意のない性的行為を受けたと主張した。女性側はその後、大阪府警に準強制性交等致傷の疑いで刑事告訴し、2024年1月末に週刊誌が一連の訴えを報じたことで、問題が広く知られるようになった。

これに対し、伊東選手側は性的行為を強制した事実はないとして、女性2人の告訴内容は虚偽だと反論した。伊東選手側も女性2人を虚偽告訴の疑いで刑事告訴し、双方が相手の主張を否定する異例の展開となった。伊東選手側の代理人は、女性側の告訴によって選手としての信用が損なわれ、広告やスポンサーに関する契約、代表活動などにも重大な影響が出たと主張している。

伊東選手と同席していた男性トレーナーは2024年2月、女性2人に対し、合計約2億243万円の損害賠償を求めて民事訴訟を提起した。報道によると、このうち伊東選手に関する請求額が約2億円で、トレーナーに関する請求額が約243万円とされている。当初は大阪地方裁判所に提訴されたが、その後、女性側の申し立てなどを受けて東京地方裁判所に移送された。

伊東選手側は、女性側の刑事告訴によってスポンサー契約が終了するなど、具体的な経済的損害が発生したと説明している。また、アジアカップの開催期間中に報道が表面化し、日本代表を離脱することになった点も、選手活動への大きな影響として挙げている。ただし、民事裁判で請求額の全額が認められるかどうかは別問題であり、裁判所は告訴内容の真偽だけでなく、実際に生じた損害の金額や告訴との因果関係についても判断することになる。

2024年1月に問題が報じられた当時、伊東選手はカタールで開催されていたAFCアジアカップに日本代表として参加していた。日本サッカー協会は当初、伊東選手を代表チームから離脱させる方針を発表した後、一度は判断を保留したが、最終的にはチームが大会に集中できる環境を考慮し、離脱を決定した。突然の離脱はチームやサポーターにも大きな影響を与え、伊東選手の今後の代表活動が注目される状況となった。

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刑事手続きでは、大阪府警が2024年7月、伊東選手を準強制性交等致傷の疑いで、女性2人を虚偽告訴の疑いで、それぞれ大阪地方検察庁に書類送検した。しかし大阪地検は同年8月、双方について嫌疑不十分として不起訴処分とした。これは、どちらか一方の主張が裁判で真実と認定されたことを意味するものではなく、刑事裁判で有罪を立証できるだけの証拠が集まらなかったとの判断である。

伊東選手側と女性側は、それぞれ相手方が不起訴となったことを不服として検察審査会に審査を申し立てた。その後、大阪第二検察審査会は、双方の不起訴処分について「不起訴相当」と議決した。捜査記録などを検討しても、大阪地検の判断を覆すだけの証拠は認められないとされたため、刑事事件としての手続きは事実上終了した。

ただし、刑事事件で不起訴になったことと、民事訴訟の結論は同じではない。刑事裁判では、被告人を有罪とするために合理的な疑いを超える立証が必要となる。一方、民事裁判では、提出された証拠や双方の説明を比較し、どちらの主張がより合理的であるかという観点から判断される。そのため、刑事事件が不起訴で終了した後も、民事裁判で事実関係が改めて審理されることはあり得る。

東京地裁では2024年11月、伊東選手側が女性2人に約2億円の賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が開かれた。伊東選手側は、性加害はなく、女性側の証言には不自然な変化があるなどと主張した。一方、女性側は性被害を受けたとの訴えを維持し、伊東選手側の請求を争う姿勢を示した。裁判では、当日の飲酒状況やホテルでの出来事、関係者間の連絡記録、告訴に至った経緯などが重要な争点になるとみられている。

この問題を報じる際には、双方の立場を明確に区別する必要がある。女性側が性被害を訴えたことは事実だが、伊東選手による性加害が刑事裁判で認定された事実はない。一方で、伊東選手側が女性の主張を虚偽だと訴えていることも事実だが、女性2人による虚偽告訴が裁判で確定したわけでもない。刑事手続きでは双方とも不起訴となり、民事裁判の結論もまだ示されていないため、どちらか一方の主張を確定した事実として扱うことはできない。

伊東選手はその後も所属クラブでプレーを続け、2024年8月には日本代表へ復帰した。日本サッカー協会は、同年9月に始まった2026年ワールドカップ・アジア最終予選のメンバーとして伊東選手を招集した。森保一監督は、伊東選手が落ち着いてプレーできる環境が整い、代表チームとしても活動できると判断したと説明している。伊東選手は同年9月5日の中国代表戦にも出場し、約7カ月ぶりに日本代表の試合へ復帰した。

なお、問題が起きた当時、伊東選手はフランス1部のスタッド・ランスに所属していた。その後も日本代表での活動を続け、現在はベルギーのKRCゲンクでプレーしている。日本サッカー協会の選手名鑑にも、ヴァンフォーレ甲府、柏レイソル、KRCゲンク、スタッド・ランスを経て、再びKRCゲンクに所属している経歴が掲載されている。

女性側の告訴によって伊東選手にどの程度の損害が発生したのか、告訴が法的に不当なものだったのか、そして女性側が訴える被害が認められるのかについては、民事裁判での証拠調べと裁判所の判断を待つ必要がある。現段階では刑事事件が双方不起訴で終了した一方、民事上の争いは別の手続きとして続いており、双方の主張のどちらが認められるかは確定していない。