多くの年金生活者が「収入は公的年金だけだから、確定申告は必要ない」と思い込んでいる。 しかし、その認識は大きな誤りだ。 専門家によれば、確定申告をすることで、払いすぎた税金が戻ってきたり、住民税や国民健康保険料、介護保険料の負担が軽減される可能性が高いという。
特に令和7年の税制改正により、新たな控除制度が導入されたことで、申告すべき人は一層増えている。
確定申告が必要ないとされるのは、公的年金の合計収入が400万円以下で、かつ年金以外の雑所得が20万円以下の場合だ。 しかし、これに該当する多くの年金受給者でも、あえて確定申告をすることで大きな恩恵を受けられるケースがある。 特に、年金支給時に所得税が源泉徴収されている人や、住民税が課税されている人は注意が必要だ。
毎年1月に届く「公的年金等の源泉徴収票」で源泉徴収税額を確認し、金額が記載されていれば、確定申告によって還付を受けられる可能性がある。
さらに、住民税の課税状況も重要だ。 源泉徴収税額が0円でも、住民税が課税されている場合は、確定申告によって住民税が軽減されることがある。 住民税の確認方法としては、役場から届く通知書を確認する、直接窓口に問い合わせる、またはマイナポータルを利用する方法がある。
マイナンバーカードを持っていれば、オンラインで簡単に確認できるが、一部の自治体では対応していない場合もあるため、注意が必要だ。
確定申告で税金が軽減される理由の一つは、年金振り込み時には適用されない所得控除が多数存在することだ。 例えば、生命保険料控除や医療費控除、社会保険料控除などは、確定申告をすることで初めて適用される。 特に、配偶者の所得が95万円を超え133万円以下の場合、配偶者特別控除が受けられる。
同様に、19歳以上23歳未満の扶養親族がいる場合、その所得が85万円を超え123万円以下であれば、特定扶養親族特別控除の対象となる。
令和7年の税制改正は、年金生活者にとって特に重要だ。 改正により、扶養親族の所得要件が10万円引き上げられ、新たに扶養控除の対象となる人が増えた。 例えば、これまで扶養控除を受けられなかった親族が、所得要件の緩和によって新たに該当する場合、確定申告が必要となる。
また、65歳以上の年金受給者で、年金受給額が205万円以上の場合、通常より低い控除額が適用されるケースがあるため、確定申告によって還付を受けられる可能性が高い。
確定申告の手順は、まず源泉徴収票を用意し、次に必要な書類を準備する。 例えば、生命保険料控除を受ける場合は生命保険料控除証明書が必要だ。 確定申告書の作成は、国税庁のホームページにある「確定申告書等作成コーナー」を利用するのが便利だ。
書類の作成が難しい場合は、税務署や市区町村の無料相談を活用しよう。 申告期間は令和8年2月16日から3月16日までだが、還付申告は5年間さかのぼって行える。
年金生活者にとって、確定申告は面倒な手続きに思えるかもしれない。 しかし、払いすぎた税金が戻ってくる可能性や、住民税や保険料の負担軽減を考えれば、その手間をかける価値は十分にある。 特に令和7年の改正により、多くの人が新たに控除を受けられるようになった。
今こそ、自分の状況を確認し、確定申告を検討すべき時だ。



