北海道旭川市で2024年4月、当時17歳の女子高校生が橋から転落して死亡した事件は、SNS上の投稿をきっかけにしたトラブルが、監禁や暴行を経て命を奪う結果に至った重大事件として審理された。殺人、監禁、不同意わいせつ致死の罪に問われた内田梨瑚被告は、裁判で一貫して殺意を否認し、「橋から落下させていない」と主張していた。

事件は、被害者が内田被告の画像をSNSに投稿したことをきっかけに動き出したとされる。検察側の主張では、内田被告らは被害者に因縁をつけ、留萌市内で車に乗せて監禁。その後、旭川市方面へ移動し、暴行や脅迫を加えたうえで、神居古潭付近の橋へ連れて行ったとされる。被害者は事件から約1か月後、下流で遺体となって見つかった。
公判で大きな争点となったのは、内田被告が被害者を直接押して落下させたのか、そして殺人罪が成立するのかという点だった。すでに有罪判決が確定している共犯の女性は、内田被告が被害者を押した趣旨の証言をした一方、内田被告はこれを否定した。共犯の女性は、内田被告の説明について「調書はでたらめ」「全部作り話」と述べたと報じられており、法廷では両者の主張が真っ向から対立した。
内田被告は被告人質問でも、殺人罪について改めて否認した。ただ、検察側から橋の欄干に被害者を座らせた危険性を問われると、人が死亡する可能性があることを認識していたかについて「はい」と答えた場面もあった。さらに、現在はその行為について「殺意があったんじゃないかと言われるのは当然だと思います」と述べたと報じられている。
《内田梨瑚被告に懲役27年》「旭川17歳女子高生殺害事件」懲役23年の舎弟・小西優花受刑者が綴っていた直筆の手紙「リコさんの事を止め ていれば」「何回も当時に戻りたいと思いました」 | 文春オンライン](https://bunshun.jp/mwimgs/f/a/1200wm/img_fac8331a4b9473b3a773b616edbde73243866.jpg)
一方で、内田被告の母親も公判に出廷し、「娘の証言を信じています」と証言した。母親は、内田被告が後先を考えず、自分の欲求のために周囲を振り回して間違った行動を取ったという趣旨の説明もしている。法廷では、被告本人の否認、共犯者の証言、母親の証言が交差し、事件当時の状況と責任の所在が慎重に審理された。
旭川地裁は2026年6月22日、内田被告に対し、求刑通り懲役27年の判決を言い渡した。裁判所は、内田被告が被害者の肩甲骨付近を押したとは認定しなかったものの、被害者が自ら落下した場合であっても、被告らの行為によって追い込まれた結果であり、殺人の実行行為に当たると判断した。
判決では、被害者の人格と尊厳を踏みにじる行為だったとして、犯行の残虐性と悪質性が厳しく指摘された。裁判所は、動機についても自己中心的で酌量の余地はないと判断した。直接突き落としたかどうかだけではなく、暴行、脅迫、屈辱的な扱いを重ね、被害者を逃げ場のない状況へ追い込んだ一連の行為が重く評価された形だ。
この事件で奪われたのは、まだ17歳だった少女の未来だった。SNS上の投稿をめぐる怒りが、金銭要求や監禁、暴力へと発展し、最終的に死亡という取り返しのつかない結果を生んだ。裁判を通じて明らかになったのは、若者同士のトラブルという言葉では到底片づけられない、支配と恐怖を伴う深刻な暴力の構図だった。
内田被告への懲役27年判決は、事件の一つの区切りとなった。しかし、遺族にとって悲しみが終わるわけではない。社会に残された課題は、SNSをきっかけにした対立が暴力へ発展する前にどう止めるのか、助けを求める声をどう拾い上げるのかという点にある。旭川17歳女子高校生殺害事件は、個人の怒りや集団の力関係が命を奪う危険性を、改めて突きつけている。

